放課後の資格攻略学園、情報処理教室。掲示板に貼られた1枚のチラシを見つけて、柚木ミオが声を上げました。

見て見て!「ITパスポート」だって!これでわたし、海外行けるじゃん!

行けるか。それ、飛行機には乗れない資格だぞ

え、パスポートってついてるのに!?詐欺じゃん!

ふふ、気持ちは分かります。「ITパスポート」は、ITの基礎知識を証明する国家試験の愛称なんですよ
ITパスポート(愛称:iパス)は、ITの基礎知識を証明できる国家試験です。エンジニアだけでなく、業種や職種を問わず、これから社会人になる学生も含めた幅広い人が対象になっています。
この記事では、ITパスポートがどんな試験なのか、何を勉強するのか、難易度や最新の合格率、そしてIT初心者でも挑戦できるのかまで、初心者向けに一通り整理します。読み終えたころには、「自分が挑戦してみるかどうか」を判断できる材料がそろっているはずです。
ITパスポートとは?
結論から言うと、ITパスポートは「情報処理の促進に関する法律」にもとづく国家試験で、業種・職種、文系・理系を問わず、すべての社会人・学生を対象にしています。

でも結局、パスポートって名前なのに海外に行けないのは納得いかない……

そこはもう名前だけの話だから諦めろ
「パスポート」という愛称がついているのは、社会人として最低限持っておきたいITの基礎知識を「証明する」役割から来ています。ITエンジニアを目指す人だけの資格ではなく、事務職・営業職・販売職など、あらゆる仕事でITを使う人を想定した試験です。
受験資格の制限はなく、年齢・学歴・実務経験に関係なく誰でも申し込めます。
ITパスポートでは何を勉強する?
ITパスポートの出題範囲は、大きく3つの分野に分かれます。資格攻略学園でいうなら、いわば「3つの授業」です。


ストラテジ系?マネジメント系?テクノロジ系?なんかもう横文字の時点でお腹いっぱいなんだけど

焦るな。中身を知れば、そんなに構えるようなものじゃない

1つずつ、簡単な言葉で確認していきましょう
ストラテジ系(経営全般)
経営戦略やマーケティング、会計、法務など、「会社がどう動いているか」を学ぶ分野です。ITの話というより、社会人としての基礎知識に近い内容も含まれます。
マネジメント系(IT管理)
システム開発の進め方やプロジェクトの管理方法など、「ITの仕事をどう回すか」を学ぶ分野です。開発の現場に関わらない人でも、仕事の進め方の基本として役立つ内容です。
テクノロジ系(IT技術)
ネットワーク・セキュリティ・データベースなど、「ITの仕組みそのもの」を学ぶ分野です。3分野の中では、いわゆる「IT技術」のイメージに最も近い内容です。

意外と、会社のこととか働き方の話も出るんだ。ITだけの試験じゃないんだね

そうなんです。だからこそ、IT初心者でも挑戦しやすい試験になっているんですよ
試験は何問?何分?
ITパスポートの試験概要を、表で整理します。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験方式 | CBT方式(会場のパソコンで受ける試験) |
| 実施時期 | 通年(年間を通じて随時受験可能) |
| 試験時間 | 120分 |
| 出題数 | 100問(小問、四肢択一) |
| 採点対象 | 92問(残り8問は今後の出題のための試行問題で、採点対象外) |
| 出題分野 | ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野 |
| 合格基準 | 総合評価点600点以上、かつ3分野それぞれ300点以上(1,000点満点中) |

え、100問を120分!?めちゃくちゃ忙しくない?

単純計算で1問1分ちょっとだな。ただ全部が全部、じっくり考える問題ってわけでもない
問題数は多く見えますが、知識をそのまま問う問題も多く含まれるため、試験時間だけで極端に不利になる設計ではありません。
合格するには何点必要?
ITパスポートの合格基準は、「総合評価点600点以上」かつ「3分野(ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系)それぞれ300点以上」を、すべて満たすことです(1,000点満点)。

じゃあ100問中60問正解すれば合格ってこと?

実はそうとも言い切れないんです。ITパスポートの採点は、IRT(項目応答理論)という仕組みで、解答結果から評価点を算出しています

アイアールティー……?

簡単に言うと、正解した問題の数の単純な割合ではなく、問題ごとの難しさなども考慮して点数が決まる、という仕組みです。細かい計算方法まで覚える必要はありませんよ
大切なのは、「100問中〇問正解すれば必ず合格」という単純な計算にはならない、という点です。1つの分野だけを完璧にしても、他の分野が300点未満だと不合格になるため、3分野をバランスよく学習する必要があります。
ITパスポートの難易度と最新合格率
IPA(情報処理推進機構)が公開している最新の公式統計によると、令和7年度の実績は次のとおりです(応募者数307,266人、受験者数271,352人、合格者数132,012人)。
令和7年度の合格率:48.6%

約半分は受かってるってことだよね?なんだ、余裕じゃん

その考え方は危ない。合格率だけで「簡単」と決めつけるのは早い
合格率だけを見ると高く感じられるかもしれませんが、ITパスポートの難易度は、次のような点をあわせて考える必要があります。
- 出題範囲が3分野にまたがり、広い
- IT分野だけでなく、経営・法務なども含まれる
- 専門的なプログラミング知識までは問われず、基礎知識が中心
- IT初心者でも学習対象になる試験として設計されている
つまり、「合格率が高い=誰でも勉強せずに受かる」というわけではなく、「基礎知識を幅広く学べば、初心者でも十分に合格を狙える試験として設計されている」と捉えるのが実態に近い表現です。
IT初心者でも受けられる?
結論から言うと、パソコンやITが得意でなくても受験できます。受験資格の制限はなく、年齢・学歴・実務経験を問いません。

わたしパソコン、電源ボタンの場所しか分かんないんだけど大丈夫かな……

大丈夫ですよ。ITパスポートは、ITに詳しい人向けというより、これから基礎知識を身につける人のための試験として作られています
ただし、「誰でも勉強せずに受かる」わけではありません。出題範囲が広いため、ある程度の学習は必要です。IT初心者であっても、基礎から順番に学べば十分に挑戦できる試験、というのが実態に近い表現です。

ITパスポートを取る意味は?
ITパスポートを取得する意味は、主に次のような点にあります。
- IT・デジタルの基礎知識を体系的に学べる
- セキュリティやネットワークの基礎を知るきっかけになる
- 経営や法務も含め、社会人として幅広い知識を学べる
- IT学習の入口として利用できる

就活で無双できたりする?

「絶対有利」とか「取れば内定」みたいな話じゃない。あくまで基礎知識の証明、くらいに考えといたほうがいい
就職・転職で必ず有利になる、持っていれば内定が出る、といった過剰な効果は期待しすぎないほうがよいでしょう。あくまで、ITの基礎知識を体系的に学ぶきっかけ・証明として活用するのが、実態に近い意味づけです。
2026年末〜2027年度の変更予定に注意
ここからは、2026年8月時点でIPAが公式に発表している、試験制度の変更予定について整理します。確定していることと、まだ検討中・未定のことを、はっきり分けて説明します。

ここは特に大事な話なので、少し真面目に説明しますね
確定していること
CBTシステムのリプレース(更新)対応のため、ITパスポート試験は2026年12月28日以降、試験実施が一時休止となります(会場によっては、これより前に休止となる場合もあります)。
まだ未定のこと
2027年1月以降の試験実施については、2026年8月時点では未定です。IPAは「2026年秋頃にウェブページでお知らせする」としています。
予定・検討段階のこと
IPAは2027年度から新しい試験制度への移行を予定していますが、これは2026年3月31日時点の検討状況を公表したものであり、確定した最終仕様ではありません。今後、内容が変更される可能性があります。

えっ、じゃあ今から勉強しても意味ないかもってこと?

そうではありません。基礎知識を学ぶこと自体の意味は変わりませんし、試験そのものがなくなるわけでもありません。ただ、申し込みや試験日を考えるときは、必ず公式サイトで最新情報を確認してくださいね
「試験そのものの存続が不明」というわけではなく、あくまでシステム更新にともなう一時的な休止と、それにあわせた制度見直しの検討が進んでいる、という状況です。受験を具体的に考えるタイミングでは、必ずIPA公式サイトで最新情報を確認してください。
まず何から勉強すればいい?
ここでは、運営者自身がITパスポートを勉強したときの進め方を、簡単に紹介します。

先生、結局何から始めればいいの?

一つの例として、運営者の「サト」さんが実際にやっていた進め方を紹介しますね
私はITパスポートを勉強したとき、まず参考書を最初から最後まで一度読みました。全部を完璧に覚えようとするのではなく、「こんな内容が出るんだ」と全体像をつかむことを目的にしていました。
その後は、ITパスポート試験ドットコムが運営する「過去問道場」や、ITパスポート対策アプリを使って問題を解きながら、分からないところを確認していく、という進め方をしていました。

過去問道場って、IPAが作ってるやつ?

いや、それは民間のサイトが運営してる無料の問題演習サービスだ。IPAの公式サービスじゃない。そこは混同しないように
ITパスポート試験ドットコムの「過去問道場」は、IPAが公開している過去問題をもとに作られていますが、IPA公式のサービスではなく、第三者(民間)が運営するサイトです。この記事では、この区別をはっきりさせておきます。
出題範囲が広いITパスポートでは、1つの分野だけを深く掘り下げるより、まず全体を広く知ってから、問題を解きながら理解を深めていく進め方が、私自身は合っていると感じています。この「広く浅く」という考え方は、あくまで運営者本人の学習方針であり、公式に推奨されている方法というわけではありません。
初心者向けの大まかな流れをまとめると、次のとおりです。
- 参考書などで全体像を知る
- 問題を解く
- 分からないところを確認する
- 再び問題を解く
この流れの詳しい進め方や、勉強時間の目安については、別記事で改めて詳しく解説する予定です。
よくある質問
Q. ITパスポートは国家資格ですか?
はい。「情報処理の促進に関する法律」にもとづく国家試験です。
Q. IT初心者でも受験できますか?
はい。受験資格の制限はなく、パソコンやITが得意でない人も学習対象になる試験です。ただし、出題範囲が広いため、ある程度の学習は必要です。
Q. プログラミングの知識は必要ですか?
専門的なプログラミングの知識までは問われません。ITの基礎知識が中心の試験です。
Q. 合格率はどのくらいですか?
令和7年度の実績で48.6%です(IPA公式統計)。ただし、出題範囲の広さもあわせて考える必要があり、合格率の数字だけで難易度を判断しないほうがよいでしょう。
Q. いつ受験できますか?
CBT方式で通年実施されています。ただし2026年12月28日以降、システムリプレースのため試験実施が一時休止となる予定です(2027年1月以降の実施方法は、2026年8月時点では未定です)。受験を考える際は、必ず公式サイトで最新の実施状況を確認してください。
Q. 2027年度に試験は変わりますか?
IPAは2027年度からの新しい試験制度への移行を予定していますが、2026年8月時点では検討状況の公表段階であり、詳細は確定していません。
まとめ
具体的な勉強の進め方を知りたい方は、「ITパスポートの勉強方法|初心者向け独学の進め方と1ヶ月・2週間の学習例」で、参考書・問題演習・復習の進め方を詳しく紹介しています。
また、ITパスポートの勉強を終えたあとに「次は何を取ればいい?」と迷っている方は、基本情報技術者試験・情報セキュリティマネジメント試験(SG)・G検定を目的別に比較した記事も参考にしてみてください。

どうじゃったかな。ITパスポートは、身構えるほど怖い試験ではないぞ
この記事では、ITパスポートの全体像を整理しました。
- 業種・職種を問わない、全社会人・学生を対象にした国家試験
- 出題はストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野
- CBT方式・120分・100問(採点対象92問)
- 合格基準は総合600点以上、かつ3分野それぞれ300点以上
- 令和7年度の合格率は48.6%だが、数字だけで難易度を判断しない
- IT初心者でも受験資格の制限はなく、学習対象になる
- 2026年12月28日以降、システムリプレースのため試験実施が一時休止予定(2027年1月以降は未定)、2027年度の新制度移行は検討段階

思ったより、いきなり難しい試験じゃないんだね。ちょっと挑戦してみようかな

焦らず、一歩ずつでよいのじゃ。次は、勉強の進め方をもう少し詳しく見ていくとしよう
まずはITパスポートの全体像がつかめれば十分です。次回は、勉強方法や勉強時間の目安について、もう少し詳しく取り上げる予定です。


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