放課後の資格攻略学園、資格部の部室。19本目で問題演習を始めたミオが、過去問道場の問題を解いていたところで手が止まっています。

……レン。

なんだ。

この問題だけ文字化けしてない?数字と%ばっかりなんだけど。

文字化けじゃない。計算問題だ。逃げるな。

逃げてないもん!ただ、何から手をつけていいか分からないだけだもん!

大丈夫ですよ。計算問題は、いきなり計算しようとするから難しく感じるんです。順番を決めれば、初めての問題でも取りかかれますよ。
ITパスポートの試験内容や難易度を先に確認したい方はこちら、勉強全体の進め方を先に確認したい方はこちらもあわせてご覧ください。この記事では、その中でも特につまずきやすい「計算問題」に絞って、初心者・文系の方でも取りかかれる整理の仕方を紹介します。
結論から言うと、計算問題は「①何を求める?→②数字・単位を整理→③式・考え方を決める→④途中式を書く→⑤答えと単位を確認する」という5つの順番で整理すると、最初の1問に手をつけやすくなります。「計算は簡単」「文系でも余裕」と言いたいわけではありません。むしろ、簡単だと感じられなくても、この順番さえ知っていれば最初の一歩が踏み出せる、という話です。
ITパスポートの計算問題は5ステップで整理しよう

ITパスポートの計算問題は、次の5つのステップで整理すると取りかかりやすくなります。
- 何を求める?
- 数字・単位を整理する
- 式・考え方を決める
- 途中式を書く
- 答えと単位を確認する

え、たったこれだけ?公式とか山ほど覚えないといけないと思ってた。

公式を先に全部覚えようとするから嫌になるんだよ。まずはこの順番を体に入れろ。
この5ステップは、割合の問題でも、稼働率の問題でも、二進数の問題でも、同じように使えます。問題の種類によって計算のやり方(式)は変わりますが、「どう手をつけるか」という順番は変わりません。この記事では、この5ステップを使って、実際にどう考えるかを一つずつ見ていきます。
ITパスポートではどんな計算問題がある?
ITパスポートの計算問題には、いくつかの種類があります。代表的なものとしては、次のようなテーマが挙げられます。
| 種類 | どんな計算をする問題か |
|---|---|
| 割合・比率 | 利益率や構成比など、全体に対する割合を求める |
| 売上・利益 | 原価・売価・利益などの関係を求める |
| 確率・期待値 | ある出来事が起きる可能性や、見込まれる値を求める |
| 稼働率 | 機器やシステムがどれくらい正常に動き続けられるかを求める |
| 二進数 | 0と1で表された数を、普段使う10進数に直すなど |
| 通信速度・データ量 | データの容量や転送にかかる時間などを求める |

こんなに種類あるの……もう無理かも。

種類は複数ありますが、覚えることは「解き方の型」であって、テーマの数ではありません。この記事の5ステップは、どのテーマにも共通して使える考え方です。
ここに挙げた種類は、現行のシラバス(知識の細目)や公開されている問題で確認できる範囲の代表例であり、「必ずこれだけ出る」「この中から毎回○問出る」というものではありません。出題の具体的な内容・出題数は年度・回によって変わるため、この記事では種類を網羅することよりも、どの種類にも使える整理の仕方を優先します。
STEP1 まず「何を求める問題か」を確認する
計算問題を見たとき、最初にやることは計算ではありません。「最終的に何を答える問題なのか」を確認することです。

(問題文に出てくる数字を全部ノートへ書き出しながら)よし、数字は全部書いた!

待て。で、何を求める問題なんだ?

……平穏?

試験問題の話をしてるんだが。
問題文の最後には、たいてい「〇〇はいくらか」「〇〇は何%か」というように、求めるものがはっきり書かれています。ここを先に確認せずに数字だけを拾い始めると、後から「あれ、結局何を計算すればよかったんだっけ」と迷子になりやすくなります。

焦って数字を追いかける前に、まず問題文の最後の一文を読んでみてください。そこに、この問題のゴールが書かれています。
「何を求めるか」を先に確認する習慣がつくと、そのあとに拾う数字も「ゴールにたどり着くために必要な数字はどれか」という目で見られるようになります。
STEP2 数字と単位を整理する
何を求めるかが分かったら、次は問題文に出てくる数字と、その単位を整理します。

数字は集めたよ。あとは全部足せばいいんだよね?

待て。その数字、単位はそろってるか?

単位……?
ITパスポートの計算問題では、%・円・個・秒・分・MBなど、いろいろな単位が出てきます。単位が違う数字をそのまま足したりかけたりすると、答えが大きくずれてしまいます。

たとえば「分」と「秒」が混ざっている問題では、先にどちらかへそろえる必要があります。単位を見る意味は、数字同士を正しく比べたり計算したりするためなんですよ。
数字を書き出すときは、「800円」「200円」のように、数字と単位をセットでメモしておくことをおすすめします。単位を省略してしまうと、後から見直したときに何の数字か分からなくなり、STEP4の見直しもやりにくくなります。
STEP3 使う式・考え方を決める
数字と単位が整理できたら、次はやっと計算です。ただし、数字を見た瞬間に手を動かし始めるのではなく、「どういう関係の問題か」を先に考えます。

公式、10個くらい一気に覚えてきた!

その前に、今解いてる問題がどの公式を使う問題か分かってるのか?

……あ。
考える順番は、次のとおりです。
- 何を求める?(STEP1で確認済み)
- 数字同士はどういう関係にある?(割合の関係か、掛け合わせる関係か等)
- その関係に合う式・考え方はどれか
- 数字を式に当てはめる

公式を先にたくさん覚えるより、「この問題は割合を求めているから、割る計算になりそうだ」というように、関係から式を選べるようになるほうが、初めて見る問題にも対応しやすくなります。
公式を丸暗記するだけの勉強は、少し形の違う問題が出た瞬間に使えなくなることがあります。まず「何を求めたいか」から式を選ぶ順番に慣れておくと、初めて見るタイプの問題にも落ち着いて対応しやすくなります。
STEP4 途中式を書く
式が決まったら、実際に計算します。ここで大切なのは、頭の中だけで計算を終わらせないことです。

では、途中式をノートに書いてみましょうか。

(3秒後)書いた!……答えだけだけど。

それ、途中式って言わないからな。
途中式を書くと、次のようなことが起きにくくなります。
- 数字の入れ間違い
- 単位の付け間違い
- 計算の途中でのミス
- 「どこで間違えたか分からない」状態
特に数学が苦手だと感じている人ほど、途中式を書くメリットが大きくなります。頭の中だけで計算していると、間違えたときにどこが原因か分からず、「もう一度最初から考え直す」ことになりがちです。途中式が残っていれば、間違えた箇所だけを見直せます。

たしかに、答えだけ書くと間違えたとき絶望するかも……。

だろ。途中式は未来の自分を助けるためのものだ。
STEP5 答えと単位を確認する
計算が終わったら、そこで終わりにせず、最後にもう一度確認します。
- STEP1で確認した「問われているもの」に答えているか
- 単位が合っているか(%を求める問題で、%を付け忘れていないか等)
- 桁が明らかにおかしくないか
- 選択肢がある場合、選択肢の中に近い数字があるか

計算終わった!……あれ、これ単位何だっけ。

そこですね。計算が合っていても、単位や、問われている内容と違うものを答えてしまうと、正解にはなりません。最後にもう一度、問題文と見比べる習慣をつけましょう。
答えが出たときの安心感で確認をおろそかにしてしまうと、単位のつけ忘れや、求められているものと違う数字を答えてしまう、といったミスにつながります。最後の確認までが、計算問題の1セットだと考えてください。
初心者向けの計算例
ここからは、5ステップの使い方を確認するための、完全オリジナルの例題を3題紹介します。難問ではなく、初心者が最初の1問として取り組みやすい問題を選んでいます。種類は異なりますが、どの問題も同じ5ステップで整理できることを確認してみてください。
例題1 割合(売上高利益率)を求める
問題
原価500円の商品に200円の利益を上乗せし、700円で販売した。売上高利益率は何%か。
- 何を求める?:売上高利益率(%)
- 使う数字:売上高700円・利益200円
- 単位:円→最終的には%に変換する
- 式・考え方:売上高利益率は「利益 ÷ 売上高 × 100」で求められる
- 途中式:200 ÷ 700 × 100 ≒ 28.6
- 答え:約28.6%

あ、これは分かるかも。売上高と利益を比べればいいだけなんだ。

そう。身構えるほど難しくない問題も多い。
例題2 稼働率を求める
問題
機器Aの稼働率が0.9、機器Bの稼働率が0.8で、AとBを直列につないだシステムがある。このシステム全体の稼働率はいくらか。
- 何を求める?:システム全体の稼働率
- 使う数字:機器Aの稼働率0.9、機器Bの稼働率0.8
- 単位:稼働率(0〜1の比率)
- 式・考え方:直列につないだ機器の全体の稼働率は、それぞれの稼働率を掛け合わせて求める
- 途中式:0.9 × 0.8 = 0.72
- 答え:0.72(72%)

なんで掛け算になるの?足し算じゃダメ?

直列つなぎは、どちらか一方が止まるとシステム全体が止まってしまう関係にあります。両方が同時に動いている割合を求めるので、掛け算になるんですよ。
「なぜその式になるのか」という関係を意識することが、STEP3で説明した「式を選ぶ」考え方につながります。
例題3 二進数を10進数に直す
問題
2進数の「1011」を10進数に直すといくつか。
- 何を求める?:2進数「1011」を10進数に直した値
- 使う数字:1011(2進数)
- 単位:進数(2進数→10進数への変換)
- 式・考え方:右から順に「1」「2」「4」「8」という重みを掛けて、すべて足し合わせる
- 途中式:1×8 + 0×4 + 1×2 + 1×1 = 8 + 0 + 2 + 1 = 11
- 答え:11

二進数、見た瞬間に「無理」ってなるやつだ……。

桁ごとの重みさえ分かれば、あとはさっきの利益率の問題と同じだ。何を求めて、何を使って、どう計算するか。手順は変わらない。
3つの例題は種類がまったく違いますが、どれも「①何を求める?→②数字・単位→③式・考え方→④途中式→⑤答え確認」という同じ順番で整理できたはずです。初めて見る種類の問題に出会ったときも、この順番を思い出してみてください。

計算問題を間違えたときの復習方法
計算問題を解いていれば、当然間違えることもあります。大切なのは、間違えた理由を確認せずに次へ進まないことです。

間違えた問題、なんとなく答えだけ見て「へー」で終わらせてた……。

よくあることです。でも、間違えた原因が分かると、同じ間違いを繰り返しにくくなりますよ。
間違えたときは、原因を次のように分けて考えてみてください。
- 計算ミス(式は合っていたが、途中の計算を間違えた)
- 式・考え方の間違い(そもそも違う計算をしていた)
- 単位の間違い(単位をそろえずに計算した、単位を付け忘れた)
- 問題文の読み違い(求められているものを勘違いしていた)
- 知識不足(そもそもその計算のやり方を知らなかった)

「なんとなく間違えた」で終わらせるな。この5つのどれに当てはまるか、1回自分で考えてみろ。
原因が分かれば、対策も変わります。計算ミスなら途中式を丁寧に書く、単位の間違いならSTEP2をもう一度意識する、知識不足ならその計算のやり方だけを確認する、というように、原因に合わせて復習すると効率的です。「解き直しましょう」だけで終わらせず、まず原因を1つ特定してから、同じ問題または似た問題をもう一度解いてみましょう。
計算が苦手な人がやりがちなこと
計算問題が苦手な人には、いくつか共通しがちな行動があります。自分だけが特別できていない、というわけではありません。

数字が出てきた瞬間、問題文が全部外国語に見える……。

それ、俺も最初は分かる。ただ、そこで思考停止しないことが大事だ。
やりがちなことの例です。
- 数字を見たら、とりあえず全部使おうとする
- 数字をとりあえず全部足そうとする
- 何を求める問題か確認せずに計算を始める
- 単位を確認しないまま計算する
- 公式だけを大量に暗記しようとする
- 途中式を書かずに、頭の中だけで計算する
- 1問で長時間止まってしまう
- 間違えた理由を確認しないまま次へ進む
- 「数学が苦手だから、計算問題は全部無理」と決めつける

(問題文の数字を全部足しながら)これで多分合ってる!

その数字、1つ余分に足してるぞ。

ふふ。数字を見ると「とりあえず使わなきゃ」という気持ちになるのは、よくあることですよ。まずは「何を求めるか」に戻ってみましょうね。
こうした行動は、初心者であれば一度はやってしまいやすいものです。自分を責める必要はありません。5ステップに沿って、1つずつ確認しながら進めれば、少しずつ減らしていけます。
計算問題は捨ててもいい?
「計算問題は捨てて、他の問題に力を入れたほうがいいのでは」と考える人もいます。これは検索でもよく見かける疑問です。

正直、計算問題だけ全部捨てちゃダメ?

その気持ちはよく分かります。ただ、その前に少し整理しておきたいことがあります。
まず前提として、ITパスポート試験は、総合評価点(1,000点満点で600点以上)に加えて、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系という3分野それぞれで基準点(1,000点満点で300点以上)を満たす必要があります。1つの分野の点数が低すぎると、総合点が足りていても不合格になる仕組みです。計算問題は複数の分野にまたがって登場するため、「計算問題を全部捨てる」という判断は、特定の分野の得点に影響する可能性があります。

『計算問題は○問しか出ないから捨てて平気』みたいな話、時々聞くけどな。

出題の具体的な内容や数は年度・回によって変わるため、「必ず○問だけ」と決めつけるのは避けたいところです。断定できない前提で考える必要がありますね。
この記事の立場は、「計算問題を全部完璧にする必要はないが、基本的な計算問題まで最初から諦める必要もない」というものです。難しく感じる問題を後回しにするのは1つの作戦ですが、5ステップで整理すれば解ける基本的な問題まで、見た瞬間に諦めてしまうのはもったいない、という考え方です。
「計算問題を捨てれば必ず合格できる」「計算問題は無視して平気」といった保証はできません。どの問題にどれだけ時間をかけるかは、最終的には自分の得意・不得意や残り時間を見て判断してください。
計算問題の練習方法

計算問題への苦手意識を減らすための練習の流れです。
- この記事の5ステップの考え方を確認する
- 簡単な問題を1問解いてみる
- 間違えた場合は、原因を1つ特定する
- 同じタイプの問題をもう一度解く
- 慣れてきたら、通常の問題演習へ戻る

いきなり大量に問題解かなくていいんだ。

最初から量をこなそうとするから疲れるんだよ。まずは1問ずつでいい。
ITパスポート全体の勉強の進め方(全体像をつかむ→問題を解く→間違いを確認する→復習する→もう一度解く、というサイクル)については、ITパスポート全体の勉強の進め方はこちらで詳しく紹介しています。計算問題の練習も、このサイクルの中に組み込んで進めるのがおすすめです。
ITパスポートの計算問題でよくある質問
Q. 文系でも計算問題は解ける?
はい。ITパスポートの計算問題は、四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)を中心とした内容が多く、文系・理系にかかわらず、5ステップのように順番を決めて整理すれば取りかかりやすくなります。ただし、個人の得意・不得意によって感じ方は変わります。
Q. 数学が苦手でも大丈夫?
数学が苦手だと感じていても、いきなり複雑な数式を扱うわけではありません。まず「何を求めるか」「どんな数字と単位があるか」を整理することから始めれば、計算そのものは基本的な四則演算が中心です。
Q. 公式は全部暗記する必要がある?
丸暗記だけに頼るより、STEP3で紹介したように「何を求めたいか」から式を選べるようになるほうが、初めて見る問題にも対応しやすくなります。よく出てくる考え方(割合・稼働率・二進数の変換など)から少しずつ慣れていく方法をおすすめします。
Q. 計算問題は何問出る?
出題数は年度・回によって変わるため、「必ず○問」と断定することはできません。この記事でも固定の出題数は明記していません。
Q. 計算問題は捨ててもいい?
「計算問題は捨ててもいい?」の見出しで詳しく説明したとおり、全部を完璧にする必要はありませんが、基本的な問題まで最初から諦める必要もありません。「捨てれば必ず合格できる」という保証はできない前提で、自分の得意・不得意と相談して判断してください。
Q. 電卓は使える?
いいえ。ITパスポート試験(CBT方式)では、電卓は持ち込み禁止の電子機器として明記されています。私物の電卓や計算用紙は使用できず、計算は会場で用意されたメモ用紙・シャープペンシルで行うことになります。
Q. 二進数が苦手な場合はどうする?
例題3で紹介したように、まずは桁ごとの重み(1・2・4・8…)を使った基本的な変換から慣れることをおすすめします。他の計算問題と同じく、「何を求める?→数字を整理→式・考え方→途中式→答え確認」という同じ5ステップで整理できます。
まとめ

どうじゃったかな。計算問題というのは、身構えて眺めているうちが一番怖いものなのじゃ。
この記事で紹介した5ステップを振り返ります。
- ①何を求める問題か確認する
- ②数字・単位を整理する
- ③使う式・考え方を決める
- ④途中式を書く
- ⑤答えと単位を確認する

最初から計算しようとするんじゃなくて、まず「何を求めるか」を見ればいいんだ。

それだけでも、だいぶ変わるはずだ。

焦らず、一歩ずつでよいのじゃ。
計算問題をすべて得意にする必要はありません。まずは次に計算問題を見たときに、「この問題は結局、何を求める問題なんだろう」と1つ確認してみてください。それだけでも、今日から計算問題への向き合い方は変わっていくはずです。


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